一応評伝といえば評伝だが

『新説 坂本龍馬
町田明広 著
集英社インターナショナル新書
ISBN978-4-7976-8045-4
薩摩藩関係者として坂本龍馬を描いた本。
あまりまとまってもいないし、丁寧でもなく、悪く言えば書きたいことを書き散らしたという本だが、そういうものだと割り切れれば、それはそれで、というところか。
どうも読んだ感じ、『竜馬がゆく』を読んだ人がその次に読む本、というイメージが浮かぶので、そういう人にはいいのかもしれない。
いくら有名だとはいえ五十年前のやつだが。
正直、やや微妙なところはある。
それでも良ければ、という本だろう。
以下メモ
・世界の海援隊というビジネス人の竜馬像は、敗戦後の高度成長時代に合わせて作られたイメージである。
・土佐脱藩浪士で薩摩藩の意向で動く龍馬は、薩長、薩土の関係を中継するのにちょうどよかった。
木戸孝允が、薩摩藩に署名させることのできない薩長密約の裏書を龍馬に求めたのもそのためである。