読み物

『暗殺の幕末維新史 桜田門外の変から大久保利通暗殺まで』
一坂太郎 著
中公新書
ISBN978-4-12-102617-0
暗殺で綴った幕末維新史。
そこまでの深いテーマや切り込みはなく、暗殺をメインに幕末維新史を綴った読み物。ただ、暗殺だけで通史になってしまうというあたりがいろいろやばいわけで、そういう通史的読み物で良ければ、という本か。興味があるならば読んでみても、というところ。
特にというものはないが、ワンテーマで切り取った軽い通史読み物で、それなりに読めると思う。
そうしたもので良ければ、という本だろう。

以下メモ
・幕末の暗殺は、水戸がやるなら長州が、薩摩が、薩摩がやるなら土佐が、とどんどんとエスカレートした。
単なるうわさで狙われた。
・強硬論が跋扈する中、理性的な意見を述べれば、弱腰だと暗殺の対象になった。
・品川御殿山は江戸湾を見下ろす好地であり、ここを外国人に使わせるのは朝廷からも反対されていたので、高杉晋作らによる御殿山イギリス公使館焼き討ちは、結局イギリスが引いたことから幕府を助けた。
・明治十六年に坂本龍馬を主人公にした自由民権運動プロパガンダ本『汗血千里駒』が発売され、人気となった。
大久保利通を暗殺した島田一郎が藩閥政治打破の英雄と一部では見られたように、一度テロを認めると認めないテロとの線引きが難しくなる。