伝記っぽくはない

『明治の説得王・末松謙澄 言葉で日露戦争を勝利に導いた男』
山口謠司 著
集英社インターナショナル新書
ISBN978-4-7976-8076-8
末松謙澄について紹介した本。
あまり伝記っぽくない伝記で、読み物として割り切るならば、というところか。
先行研究がないからかもしれないが、主なエピソードを飛び石につないだだけで、つぎはぎ感が強い。
あと、明治政府の高官が日露戦争はやむを得ない防衛的なものだと語った、というのと、彼が実際にそう考えていたというのと、実際にそうだったかというのとはすべて別の問題で、そこらあたりの切り分けができていない印象がある。
そうなると、維新から日露戦争までは偉かった、みたいな司馬史観になってしまうが、いまどきちょっとそれはどうなのとは思う。
それでも良ければ、というところ。
特に、というほどではないだろう。