紹介エッセイ

『戦国北条家の判子行政 現代につながる統治システム』
黒田基樹
平凡社新書
ISBN978-4-582-85958-4
後北条氏の内政について書かれた本。
全体として、日本で最初に領域国家として成り立った戦国大名の内政システムが同じ領域国家である現代日本と近しいことを論じたもの、だが、戦国大名にはあって現代にはないものとか現代にあって戦国時代にも十分成り立ちえたはずなのになかったものとかが検討もされていないので、それについて論じたというよりは、後北条氏の内政を紹介したもの。それで良ければ、という本か。
特にということはないがありがちな戦国本。
内政特化なのでその面では興味深い。
それで良ければ、という本だろう。

以下メモ
・後北条家では目安制による開かれた裁判を行うことで村々への直接統治に乗り出した。
・直接統治のために大量に必要になる文書についてはハンコを使っている。
・領主がそれぞれ好き勝手に領地から年貢を取り立てるのでなく、決まった額の税を村々から納めるようにした。
・本来は軍事機能においてのみ使われる普請役の公共事業への転用も見られる。
・ただしその代わり、緊急時には普段平和を担っている北条氏への奉仕がお国のためとして求められた。