2017-01-01から1年間の記事一覧

『搭乗員挽歌 散らぬ桜も散る桜』

小澤孝公 著 光人社NF文庫 ISBN978-4-7698-3005-4 筆者の従軍記。 特にということはないがそれなりの従軍記で、特攻隊に志願しながら出撃の機会がなく終戦まで無事生きながらえたというのもそれはそれで貴重な経験ではあろうから、悪くはない本か。 従軍記…

『人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか』

中川毅 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-502004-3 古気候学について書かれた本。 過去の気候に関する研究についてあれこれと大雑把にまとめたもので、よくいえば入門概説、悪くいえばややテーマがぼやけている印象はなくもないが、別に悪いというほど…

『素数はめぐる 循環小数で語る数論の世界』

西来路文朗・清水健一 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-502003-6 整数を素数で割った数に関連して書かれた数学読本。 内容的にも難易度の点でも完全に好事家向けなので、そこまで数学が好きな人用の本か。 少なくとも一般人はお呼びでないと思う。 完…

『海の向こうから見た倭国』

高田貫太 著 講談社現代新書 ISBN978-4-06-288414-3 古墳時代における日本列島と朝鮮半島の関係を古墳の出土品などから探った本。 それなりにまとまっているし、面白かったので、そうしたものでよければ読んでみても、という本か。 後は、特にどうということ…

『量子革命 アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突』

マンジット・クマール 著/青木薫 訳 新潮文庫 ISBN978-4-10-220081-0 量子の発見からコペンハーゲン解釈の覇道までを記した量子力学に関する科学史読み物。 もう少し踏み込んでいえば、コペンハーゲン解釈が絶対視されなくなった現代の視点から描いた量子力…

『発掘狂騒史 「岩宿」から「神の手」まで』

上原善広 著 新潮文庫 ISBN978-4-10-120686-8 旧石器捏造事件に至った戦後考古学の流れを追った本。 見てきたような、という書き方をしていて、物語としては読みやすく分かりやすいのだろうが、当然すべてを見てきたわけはないので、そこんとこどうなの、と…

『いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学』

センディル・ムッライナタン&エルダー・シャフィール 著/大田直子 訳 ハヤカワ文庫NF ISBN978-4-15-050483-0 欠乏に関して、それが人に引き起こす影響やその結果について考察した社会科学読み物。 基本的に結構面白い本だった。 内容は要するに、欠乏は…

『入門! 進化生物学』

小原嘉昭 著 中公新書 ISBN978-4-12-102414-5 進化学について書かれた本。 体裁的には進化についての啓蒙概説書だが、啓蒙書というよりは布教書と考えたほうがいいと思う。 進化論の布教書。創造説とかいろいろあるから、かたくなになるものなのかもしれない…

『ガリバルディ イタリア建国の英雄』

藤澤房俊 著 中公新書 ISBN978-4-12-102413-8 ガリバルディの伝記。 あまり詳細ではないし、踏み込みか情熱かそういった何かが足りないような気がするが、伝記は伝記なので、それでよければという本か。 19世紀ヨーロッパの政治状況がある程度分かる人なら、…

『つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線』

理化学研究所 脳科学総合研究センター 編 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257994-0 理化学研究所で行われている脳科学研究についてのレポート集。 要は、内輪向けの、雑多な、報告書、というところで、褒めるような部分はほぼない。 よくいえば、脳科学…

『物理数学の直感的方法<普及版> 理工系で学ぶ数学「難所突破」の特効薬』

長沼伸一郎 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257738-0 経済数学の直感的方法がある程度読めたので挑戦してみた本。 ただ、こちらは完全に理工系の大学生あるいはそれ以上の読者向けの本だった。 「直感的」なので読めるか読めないかでいえば読めなくは…

『経済数学の直感的方法 確率・統計編』

長沼伸一郎 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257985-8 ブラック・ショールズ方程式を目標にその数学的意味を解説した数学読み物。 ランダムな変動が、積み重なって二項分布となり正規分布となる、とか、正規分布の幅を示すのが標準偏差、とか、ブラッ…