『人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか』

中川毅 著
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-502004-3
古気候学について書かれた本。
過去の気候に関する研究についてあれこれと大雑把にまとめたもので、よくいえば入門概説、悪くいえばややテーマがぼやけている印象はなくもないが、別に悪いというほどでもないので、入門概説でよければ読んでみてもという本か。
この分野に関して知らなければ知らないほど、面白く読めると思う。
水月湖の研究に関して知りたいとか、具体的な問題意識を持って読む向きには、やや物足りないかもしれない。
あくまで、入門概説。
入門概説でよければ読んでみても、という本だろう。

以下メモ。
・最終氷期が終わって以降の地球の気候はかなり安定しているが、全体的に見ればこれはむしろ例外的である。
・地球の気候は公転軌道の離心率や歳差運動の影響を受けるので、現在の気候が長い将来にわたって安定して続くことはありえない。
・最終氷期は、数年というごく短い期間に突然終焉を迎えた。
氷期が終わるまでの気候は決して安定していなかったので、人類が農耕を行わなかったのもそのためであるかもしれない。