カウンターカルチャー批判

『反逆の神話〔新版〕 「反体制」はカネになる』
ジョセフ・ヒース&アンドルー・ポター 著/栗原百代
ハヤカワ文庫NF
ISBN978-4-15-050580-6
カウンターカルチャーを批判した本。
内容的には、カウンターカルチャーフロイト的にルールを押し付けであるとみなして全面拒否するが、そんなことを言っていたらルールを変更したりすることもできないじゃないか、と批判したもの。
カウンターカルチャーについての説明が面白かったので、興味があるならば読んでみても、という本か。
批判そのものとしては、6:4か、せいぜい7:3くらいであってるか間違っているものをゼロかイチかで語りたがっているという印象は受けた。
程度問題じゃないのという気はする。
が、著者はカウンターカルチャーに対して程度問題だと言いたいかもしれない。
あと、技術的な面として、ある文章を、著者が実際にそのように考えて主張しているのか、過去にそのような主張があったのか、または揶揄やからかいのためにデフォルメしてそう書いているのか、分かりにくい部分があった。
それを理解し弁別する文脈を私が有していない、ということではあるのだろうけど。
若い読者にそんな前提知識を求めるのはさらに厳しいのでは。
全面的に良い本であるとは評価できない。
カウンターカルチャーについてのまとめとしては面白かったので、そこに興味があるならば、というところ。
それでも良ければ、という本だろう。

以下メモ
カウンターカルチャーは、すべての社会制度やルールは上からの押し付けであるとして文化的な抗争を開始するが、文化的なものとは結局稀少的なものであるから、カウンターカルチャーは上下の構造そのものを壊すことはできない。
クールであるためには、ダサいものがなければならない。
趣味のいい人間とは、それだけの余裕のある上流階級の人か、上流階級に都合のいい人である。