伝記

『ウィリアム・アダムス 家康に愛された男・三浦按針』
フレデリック・クレインス 著
ちくま新書
ISBN978-4-480-07367-9
ウィリアム・アダムスの伝記。
特にどうということはないそれなりの伝記で、名前だけは知られていても実際の人物像はあまり知られていない人の伝記なので、それで良ければ、という本か。
著者はベルギー生まれで、そう思うから変に感じるのかという箇所はあるものの、おおむね普通の伝記。
「だろう」と書くべきところで「のだろう」を使っている、とか。
内容的にも、例えば、成功した航海の後で約束した賃金の増額を求める日本人水夫に対してアダムスは契約があると一蹴しているが、江戸初期の日本人がそうそう契約に馴染んていたとも思えず、実際はどうだったのだろう、とか。成功したら増額することが日本の慣行だったかもしれない。
アダムスには頑固なところがあったと著者は言っているが、江戸時代初期の日本において顕著といえるほどそうだったのだろうか、とか。仲介した縁談を一方的に破談されたときに江戸城で老中を殺してしまったりする人と比べて。
あまり伝記という以上のものはないが、それなりの伝記。
それで良ければ、という本だろう。