それなりのまとめ

五・一五事件 海軍青年将校たちの「昭和維新」』
小山俊樹 著
中公新書
ISBN978-4-12-102587-6
五・一五事件について書かれた本。
事件そのものの推移の他、決起に至るまでの海軍青年将校たちの動向、事件後に政党内閣が組閣されなかったことの経緯、犯人の減刑、参加した海軍青年将校たちのその後を、断続的に描いたもので、事件のまとめとしては、それなりのまとめ。そうしたもので良ければという本か。
事件そのものも、事件に至る経緯も、その後の流れも、どうしようもなくどうしようもないという感じしかなく、本書にも爽快感とか切り込んでいく鋭さとか深みみたいなものは、全然ないが。
まとめなのでそれでも良ければ、という本か。
そうしたもので良ければ、という本だろう。

以下メモ
五・一五事件を起こした三上卓は、東条首相暗殺計画の決行間近のところまでいった。
全体主義的な東条を問題視し自由主義的な勢力との連携を模索した三上の動きは、戦後保守陣営の形を先取りしている。