『これを読まずに「江戸」を語るな』

氏家幹人
祥伝社黄金文庫
ISBN978-4-396-31495-8
江戸読み物。
特にどうということもない江戸読み物だが、小説雑誌の連載を中心にまとめたものということで、すらすらと読める軽い読み物ではある。そうしたもので良ければ、読んでみても、という本。読み捨てのコンビニ文庫と考えれば、上々だろう。
貧乏くじの原意の話は面白かった。事件を見逃した番所の役人の内、びんぼうくじを引いた一人が処刑された、とか(籤はあくまで神意をはかるものだったのだろう。盟神探湯みたいな神明裁判か)。
軽い江戸読み物なので、そうしたもので良ければ、読んでみても良い本。
興味があるならば、読んでみても良い本だろう。
ちなみに、本書にも井関隆子の日記の話が出てくるが、研究者にとっては原史料は面白いのだろうか。さわりの部分だけを拾い出されて紹介されても、紹介された方の読者としてはそんなに面白いとは思えないのだが。