領導

『中国の行動原理 国内潮流が決める国際関係』
益尾知佐子 著
中公新書
ISBN978-4-12-102568-5
国内的な社会関係から中国の外交が導かれていると解説した本。
中国に宥和的でよく分からない議論をしている部分もあるが、そうしたもので良ければ、ひとつの行動原理を説明した本か。それで良ければ、というところ。
結構批判的な読みが必要だとは思うが、国民性なんていうものは元々眉につばをつけてかからなければいけないものだろうから、最初からこれでもいいのかもしれない。
中国の内側の視点から外交を読み解こうとしているので、中国に宥和的なのはそのせいだ、と著者は言うだろうが、それのみかどうかは、ちょっと分からない。
例えば、領導という言葉が本書では普通に使われるが、辞書にも載っているし変換候補にも出てくるものの、日本ではあまり使われない言葉なのではないかと思う。
一般的な日本の感覚では、変な言葉を使って変な議論をしていると感じられても不思議はないのではなかろうか。
それでも良ければ、という本だろう。
以下メモ
・民主的に選ばれたのではない中国共産党は、人民を輝かしい未来に領導する、というレゾンデートルを持っている。
マルクス・レーニン主義的な共産社会の夢が輝きを失っても、構造的にそうであり、支配が長年に及んで国内に敵を見つけにくい状況下では、輝かしい未来を阻害する強力な敵を外部に求める必要がある。
・長子相続が一般的でない中国では、兄弟の差は小さく、息子たちはそれぞれが家父長に結びついている。
家父長の権限は大きくなり、兄弟は父に気に入られるために競争する。