『「権力」に操られる検察 五つの特捜事件に隠された闇』

三井環
双葉新書
ISBN978-4-575-15357-6
逮捕されて検察を追われた元検事が検察特捜部の捜査方向を批判した本。
元検事が書いているだけに、自分が描いた物語にきっちりと調書を落としていく検察手法の恐ろしさとか(裁判では法廷における証言よりも供述調書が重視されるらしい)、マスコミなんてちょっとリークしてやれば操るのはちょろいもんだぜ、というような話は面白かったが、最後が、鈴木宗男堀江貴文との鼎談になっていて、敵の敵は味方という分かりやすい構図にしかなっていないあたり、著者の冷静さについては疑問が残る。
自分が描いた物語に検察を落としているだけじゃないのか、というか。
しかし批判本としては、こんなものか。
そうした批判本で良ければ、読んでみても、という本だろう。

以下メモ。
・造船疑獄については、佐藤栄作を追い詰め切れなかった検察が指揮権発動と引き換えに名誉ある撤退を行った、という説がある。
ヤメ検の弁護士は、起訴事実を認めた上で量刑について争うときには良いが、起訴事実を否認する場合には役に立たない。