無駄に長い気はするが

『理不尽な進化 増補新版 遺伝子と運のあいだ』
吉川浩満
ちくま文庫
ISBN978-4-480-43739-6
進化論を構築しようとする人間の営みについて書かれた本。
個人的に主旨をまとめると、存在の本質は偶発性にある、つまり、そこにあるものはあるべくしてそこにあるのではなくたまたまそこにあったにすぎない、しかるに、進化論は存在に意味を与えかねない、そこにあるものは環境に適応して淘汰を生き延びた結果そこにあるのだ、存在に意味を求め、意味を付与するのが人間であり、進化論の魅力と混乱はそこに元凶がある、というところか。
それだけにしてはやや長い気がするので、著者がいいたかったことは別にあるのかもしれないが。
そこは私には読み取れなかったが、それで良ければ、という本か。
ただし無駄に長くはある。
欧米のノンフィクションにありがちな、無駄に長くて、ペダンチックで、その実たいしたことは書いてないだろ、という感じの本。
そういうのが好きな人には良いのではないだろうか。
それで良ければ、という本だろう。