無自覚マルクス主義

『アフリカ経済の真実 資源開発と紛争の論理』
吉田敦 著
ちくま新書
ISBN978-4-480-07319-8
アフリカ経済の暗部を紹介した本。
まともに機能する政府なら権力者が特権階級になっておいしい思いをしようとするし、まともに機能しない政府なら反政府勢力が好き勝手するし、ちゃんとしようとしても外国資本がおいしいところを持っていこうとするし、アフリカの経済は何もかもが悪い状態に陥ってます、という本で、そうしたもので良ければ、という本か。
結局は証明されなかったマルクス主義的搾取概念の再提出を試みたもの。
ただしおそらくは無自覚に。
労働者は資本家に搾取されているし、消費者は広告に誘導されているし、アフリカ市民は外国資本に収奪されている、というわけだ。
これらは構造的に同一であり、そこに無自覚でのほほんとしていていいのかね、という気はする。
それでも良ければ、という本だろう。

以下メモ
・ダイヤモンドは採掘に巨大な設備を必要とするわけではないので、様々な勢力にとって資金源として都合が良い。