啓蒙主義と見まがう楽観的科学万能観

『すごい物理学講義』
カルロ・ロベッリ 著/竹内薫 監訳 栗原俊秀 訳
河出書房文庫
ISBN978-4-309-46705-4
ループ量子重力理論について紹介した本。
超ひも理論の本はいっぱいあってもループ量子重力のものは初めて読んだので、個人的には興味深かった。科学万能主義がややうざいが、それで良ければ読んでみても、という本か。
科学万能主義というか、科学とは疑うことだと書いてあるので科学万能と言ってしまえばよく読めと反論されるだろうが、科学万能主義と言って間違いのないものはある。
あまりにも十九世紀か十八世紀的な。
それでも良ければ、というところ。
量子重力の本なんか一冊で分かるわけはないのだし、何冊か読むうちの一冊としてなら、これはこれで、とはいえる。
興味があれば読んでみても、という本だろう。
以下メモ
量子力学は、区別可能な状態が有限であることを示し、情報の総量に限界を設けた。
一般相対性理論は連続な時空を扱っているので、離散的な量子力学とは相性が悪い。
ループ量子重力理論は、空間の最小限の単位であるループが絡まったものとして重力場を描き出す。
ブラックホールは、一般相対論では一点に向かって無限に収縮していくが、空間の大きさに制限のあるループ量子重力理論では、ビッグクランチがビッグバンに転ずるように、なんらかの斥力を伴って反発し、ブラックホールの爆発が導き出されるかもしれない。