『通じない日本語 世代差・地域差からみる言葉の不思議』

窪薗晴夫 著
平凡社新書
ISBN978-4-582-85861-7
言葉が変化するときの構造について書かれた本。
内容的には、言葉が変化した結果として起こるディスコミュニケーションについて書かれたものだが、その変化がどういう構造を持っているかの説明のほうが面白かったし、そういう本と考えたほうがいいと思う。それでよければ、読んでみてもいい本か。
そう特別ということもないが、個人的には興味深く読めた。
悪くはないと思う。
興味があるならば読んでみてもいい本だろう。

以下メモ。
・日本語では略語を作るとき、語の長さを数える音の単位であるモーラを語頭から二つ取ることが行われている。コクる、ナウい、サボるなど、時代によって略される言葉は違っても構成は同じである。
・雰囲気は、音節にすると長短短となっており、これでは言い難いので音節が短長短となる「ふいんき」と発音される。昔は山茶花(さんざか)であったのがサザンカになったのと同じ。
語末の二音節が長短となるのは、あんよ、おんぶ、バーバ、ジージなどの赤ちゃん言葉と同様であり、発音しやすいと分かる。
女房、女王も、短長では言い難いので、ニョーボになったりする。
ローテーションの略語がローテでロケーションの略語がロケであることの背景にも、そうした発音のしやすさがある。
・sとtの音は、よく似た音で、かつtのほうが難しい。
英語では太陽のことをタンと言うのが幼児語であるように、〜さんよりも〜タンのほうが幼い印象を与える。
有音のzとdになると、日本語ではすでにジとヂ、ズとヅの違いがなくなっている。