『マグマの地球科学 火山の下で何が起きているか』

鎌田浩毅 著
中公新書
ISBN978-4-12-101978-3
マグマの地殻内部での挙動等が書かれた本。
地殻内でのマグマの動きや変化が中心なので、内容的に特色はあって、面白いが、ただ、科学を学ぶには、とか、科学者がどうの、とかいう話題が結構あり、それが個人的にはややうざい本ではあった。
著者の情熱は分かるが、そういうのをテーマと関係なく直接垂れ流されても、説教臭いだけではないだろうか。科学を学ぶには、とかいうのに免疫のできていない学生等には、これでも良いのかもしれないが。
後は、そういう本なので、それでも良ければ、読んでみても、という本か。内容的には特色があって、割と面白いと思う。
興味があるならば、読んでみても、という本だろう。

以下メモ。
・火山という言葉は、明治に入ってから普及したらしい。
・水分の流入等によってマントルが溶けると、玄武岩マグマができる。玄武岩マグマは、密度の違いにより上昇し、一部は噴火することもあるが、残りはプレートの底で止まる。プレートの底の玄武岩マグマは、地殻を溶かして、流紋岩安山岩の中間の化学組成を持つデイサイトのマグマを作り出す。デイサイトのマグマが、玄武岩マグマと混じって、安山岩のマグマを作ることもある。デイサイトのマグマは、玄武岩マグマより密度が小さく、地上まで噴出しやすい。こうした結果、火山は、玄武岩の火山の上に安山岩の火山ができ、最後にデイサイトの火山が覆う、という姿になる。
・マグマは、結晶分別作用によって、大きく化学組成が変わる。マグマが少し冷えると、最初は水を含まない鉱物が晶出し、液体マグマの水分量が増えるが、次に含水鉱物である角閃石が晶出しだすと、マグマの水分量が減る。その後でマグマが上昇し、圧力が下がると、含水鉱物が変化して、水が一気に放出される。水分の急激な増加は、マグマだまりを不安定にし、爆発的な噴火の引き金となる。
・マグマ近くの熱水の循環が、熱水に溶けていた貴金属等の鉱床を作り出す。
・1783年のアイスランド・ラカギガル火山の噴火は、同年の浅間山の噴火より30倍も規模が大きく、天明の大飢饉の原因はラカギガル火山の方であると考えられる。