『人口学への招待 少子・高齢化はどこまで解明されたか』

河野稠果 著
中公新書
ISBN978-4-12-101910-3
人口学に関する入門概説書。
少子化や人口減少にある程度的を絞ったものではあるのだろうが、新書レベルの概説としては、標準的な入門概説、と考えて良い本か。
必要な事柄を箇条書きにまとめたりとか、見てすぐ分かるような図式的な説明がなく、若干捉え難いといえば捉え難いきらいがあるような気はするが、全体としては別に普通の概説書というところだと思う。
後、少し前に女性を産む機械と発言して批判された大臣がいたが、そういう風に捉えている面はあるかもしれず、女性の中には癇にさわる人がいるかもしれない。
それ以外は、普通の概説書。
興味があるならば、読んでみても良い本だろう。
以下メモ。
出生率と死亡率が一定ならば、やがて、人口は増加率や年齢構成比率が一定の安定状態に移行することが証明されている。
・安定状態に移行するまでの間は、過去の出生に基づいて慣性の力が働く。1956年以降、日本の合計特殊出生率は人口を維持できる人口置換え水準を割ってきたが、実際に人口が減少に転じたのは2005年だった。今後、日本の出生率が急速に回復したとしても、同様の力が逆向きに働くため、かなりの期間人口減少が続くことになるだろう。
産業革命を契機として、多産多死から少産少死に人口構造が変化する、という主張を、人口転換論という。何故出生率が低下した(する)のかについては、経済発展や都市化に原因を求める考えと、死亡率の低下が出生率の低下を引き起こす、という考えとがあり、近年多くの発展途上国出生率が低下していることから、後者の考えにも注目が集まっている。