『ご老人は謎だらけ 老年行動学が解き明かす』

佐藤眞一 著
光文社新書
ISBN978-4-334-03660-7
老人の心理や行動に関して書かれた本。
あちこちからいろんな理論を引っ張ってきたごった煮ツギハギの雑論だが、面白くないわけではない。そうしたものでよければ、という本か。
特別というほどではないが、悪い本でもない。
まとまりのない雑多な寄せ集めである反面、エッセイ的で読みやすくはあり、興味があってごった煮エッセイでよければ、こんなものではあると思う。
興味があるならば読んでみても、という本だろう。

以下メモ。
・老人は、機能が衰えても、様々な工夫によってカバーしている。ものを片付けなくなったりだらしなくなったように見えても、それは適応である場合がある。
・絶対に忘れてはいけないような大事なことを人生において経験してきている老人は、若い人に比べて、実際には忘れ物が少なかったりする。
・中高年が老いを自覚するのはこの先どうなるかという不安だが、歳を取ってから老いを自覚すると逃れられない恐怖になる。
・老人になると人の役に立って自己効力感を高める必要から利他的になったりする。
・老人になると自立できなくなるのはしょうがないのだから、自律を目指すべきだ。