『誰も書かなかった老人ホーム』

小嶋勝利 著
祥伝社新書
ISBN978-4-396-11532-6
老人ホーム紹介業者の人が老人ホームに関してあれこれと書いたコラムエッセイ。
あまりテーマはないというか、身も蓋もなくいってしまえば、老人ホームのよしあしなんて人それぞれで難しいのだから選び方は本や何かで伝えられるようなものではなく、著者がやっているような老人ホーム紹介業者の世話になるのが一番だ、という本で、それしかないからあれこれ書いて雑多なものになったということだろうか。
正直、そういうテーマの本を一冊読みたいかというと、微妙。
老人ホームに関するエッセイとして読めなくはないから、そういうのがどうしても読んでみたければ、というところだろうか。
悪い本だとはいえないし、紹介業者の世話になれというのも一面の真実ではあるのだろうが、それでも、とは思ってしまう。
お薦めするほどの本ではなかった。

以下メモ。
・老人介護のあり方に決まった正解があるのではなく、例えば丁寧に声をかけらることが煩わしいと感じる人もいるように、自分に合った老人ホームは人それぞれである。
紙おむつをして寝かせている場合に、深夜に起こしておむつを替えたほうがいいのか、多少不快でも朝まで寝かせておいたほうがいいのか、必ずしも正解はない。
そのために、ホーム長が交代すると介護のやり方が変わったり、ベテランの介護職員が他の施設では使えなかったり、自分の望む介護ができないと辞めてしまう人が多く出たりもする。
・旅行を楽しみとする入居者は多いが、介護を必要とする老人を大勢連れ出すことは想像以上に容易ではないので、毎年のように小旅行を企画している老人ホームは熱意を持って業務に取り組んでいるといえる。