『人類進化99の謎』

河合信和 著
文春新書
ISBN978-4-16-660700-6
人類進化に関して書かれた読み物。
人類進化に関する様々なトピックスに軽く触れた程度の読み物で、読み物としては別にそれなりのものだろうから、そうしたもので良ければ、読んでみても、という本か。
ただし、様々なトピックスに軽く触れた程度で、入門用としては余り向いていないと思うし、では中級用にどうかといえば、あくまで軽く触れた程度なので限界もあり、幅広い、まとまった読者に薦められる本ではないような気がする。
例えば、ホモ・フロレシエンシスなんかは、読者が既知のものとして扱われていると思うが、普通の読者にそれを期待して良いのだろうか(知らなければ理解できない、という程でもないが)。
人類進化に多少の知識はあり、その上で、軽い読み物で良いという人向け。あるいは、昔勉強した人のブラッシュアップ用とか。悪いとはいわないが、そんなに、幅広い読者に無条件で薦められる本でもないと思う。
そうしたもので良ければ、読んでみても、という本だろう。

以下メモ。
・人類が直立二足歩行を行った理由についての決定的な仮説はない。初期の人類は森の中で進化したので、サバンナに進出して二足歩行したという説は成り立たない。
・ハーレムを作る動物ではオスメスの体格差が大きいが、人類では、年代が下って現在に近づくほど、雌雄差が小さくなってくる傾向がある。
・華奢型のアウストラロピテクスの中から、肉食に傾斜したのがホモ属、木の実や根茎等の硬い食べ物に特化したものが、頑丈型のパラントロプスに進化したのだろう。
・脳を大きくするには安定したエネルギー源として肉食が必要だったが、肉食のためには動物を解体するための石器が必要だった。