『犬も平気でうそをつく?』

スタンレー・コリン 著 木村博江 訳
文春文庫
ISBN978-4-16-765161-9
認知科学的な観点から犬の心の動きについて書かれた本。
主として、嗅覚や学習行動や意識等といった、犬の認知科学的な側面を描いたもので、別に専門的ではないが、雑学読み物という程、砕けてはいない一般向け啓蒙書。
やや堅めではあるが、それなりに面白いので、こうしたものに興味があるならば読んでみても良い本ではないだろうか。
ただ、翻訳のせいなのか内容のせいなのか文体のせいなのか、堅めで少し読み難い気が、個人的にはした。あるいは段落替えが少なく文章が詰め込まれているせいで、そう感じただけかもしれないが。
それ以外は大体標準レベルのものだと思うので、興味があれば読んでみても、という本だろう。
以下メモ。
・犬は基本的に青色と黄色でものを見ており、緑もオレンジも黄色っぽい色になるので、緑の草の上にオレンジ色のボールを転がして犬と遊ぼうとしても、犬が巧くボールを追えないことがある。
・痛みを表に出すと他の肉食獣に狙われたり、群れの順位争いもおきかねないので、犬は痛みを我慢する方向に進化してきたのだろう。
・一般に、大きくて危険なことが多い動物は低い声を出し、小さくて保護を求める子獣は高い声を出すので、犬や他の動物において、うなり声等の低い声は威嚇や攻撃の可能性を示し、高い声は敵意がないことを示す。
・吠えてキツネ等の巣穴の位置を教えるよう選択育種されてきたテリアに吠えないことを教えるのは、猟師が撃つ間獲物を驚かさないように静かに座っているよう選択育種されてきたレトリーバーに吠えないことを教えるよりも難しい。