『サルになれなかった僕たち なぜ外資系金融機関は高給取りなのか』

ジョン・ロルフ/ピーター・トゥルーブ 著 三川基好 訳
主婦の友社
ISBN978-4-07-256350-2
投資銀行を辞めた人が自らの経験について語った本。
辞めた、という訳だから、投資銀行での仕事について批判的、露悪的に語ったもので、少々クセのある本なので合わない人もいると思うが、後は基本的に普通の読み物なので、そうしたもので良ければ、読んでみても、という本か。
クセがあるというのは、一つには、ファックとかお口で奉仕とかストリップとか、相当に下品であること。主婦の友社なのに良いのだろうか。というか、主婦の友だから良いのか。話の本筋に絡んでくるので、下ネタ抜きでは成立しない本ではある。
もう一つ、投資銀行という業態が日本にはないためもあってか、やや遠い異郷の世界のおとぎ話のように感じられるきらいも、なくはない。もっとも、テーマとすれば、「大脳とはすばらしい器官だ。朝目ざめると同時に働きはじめ、会社に着くまで働きつづける」といったところだろうから、日本もアメリカも変わらないね、という話ではあるが。
そもそも、批判的にしか見ていない、というのが一つの強烈なクセではある。地球からは月の裏側は見えない(著者と読者のどちらが地球に立っているのかは、措く)。
このように色々とクセのある本なので、少々薦め難いが、その他は、別に普通の読み物と考えて良い本だと思う。
興味があるならば、読んでみても、というところだろう。