『高校野球「裏」ビジネス』

軍司貞則 著
ちくま新書
ISBN978-4-480-06407-3
少年野球や高校野球の関係者に生徒の進路のこと等を取材したルポ。
裏ビジネスというタイトルになっていて、確かに、そういう内容もあるし、執筆動機としてはその通りのモチーフなのではあろうが、大体の感じとしては、告発系の本、というよりは、(真面目にやっている)野球関係者に取材したルポ、と捉える方が実態にあっていると思う。
取材内容がベタベタと続くので、ややとりとめのない印象もあるが、色々な関係者から深く話を聞いている様子もうかがえるので、ルポルタージュとしては悪くない本ではないだろうか。
興味があるならば、読んでみても良い本。
告発ものと考えると物足りない部分はあるだろうし(例えば、裏ビジネスといっても、そういう話がある、そういう話を聞いた、というものが殆どだし、著者自身、何が良くて何が悪いのか、どこまでが認められる範囲内か、という切り分けは殆どできていないように思われる)、告発系のモチーフと実際の内容との齟齬もなくはないが、少年野球や高校野球の関係者に取材したルポで良ければ、悪くない本だと思う。
興味があるならば、読んでみても良い本だろう。
以下メモ。
・中学生をスカウトするのに、高校の監督が甲子園から電話を入れる。
・学生が全国から集まる大学ならばともかく、(特待生を除けば)地元の子供しかこない高校の場合、甲子園に出てメディアで露出しても、必ずしもそれだけで生徒がすぐに沢山集まる訳ではない。
・硬式ボールは結構高く(一個千円くらい)、しかも練習用にどれだけあっても足りないので、ボールが流れることで、チームとチームの関係ができていく。ニューボールの場合は換金することもできる。