『史記の「正統」』

平せ隆郎 著
講談社学術文庫
ISBN978-4-06-159853-9
年代矛盾を中軸に、『史記』に関していくつかのことが書かれた本。
結構雑多な本なので、選択にあたっては、『史記』に関するコラム集、と考えておくのが良い本か。特別なテーマや内容はなく、私としては正直、期待した程面白くはなかったのだが、最初からコラム集と考えるならば、こんなもの、というところ。
著者は、『史記』における年代矛盾の解消を体系的に行ったといい、概略を読む限りは確かにその通りなのだが、本書に載っている具体例になると、あるところでは、七と十の当時の字体が似ていたから間違ったのだろうといい、別のところでは、十一をつづめると七に似るから誤ったのだといっていて、どうも恣意的にみえるが。
個々の件で蓋然性の高いものを集めると、全体としては恣意的にみえる、ということもあるだろうし、コラム集で良ければ、読んでみても、という本だろう。
メモ1点。
・戦国時代に、一部の王が帝を称したことがあった。
(著者名の隆は旧字である)