『コラーゲンの話 健康と美をまもる高分子』

大崎茂芳 著
中公新書
ISBN978-4-12-101917-2
コラーゲンや著者の研究に関して書かれたコラム集。
割ととりとめのない雑多な本で、且つ何も知らない一般素人に何かを分かってもらおうという姿勢は殆どないので、著者が好き勝手に書いたコラム集、と考えておくのが、最も無難なところだろうか。ウェブ上のテキストとかにありそうな感じ。
そういうもので良ければ、読んでみても、という本。
嫌なら戻るを押して帰ってくれば良いネット上のテキストなら、面白いと思う人はいるだろうから、いくらでも推奨できるが、お金と手間隙がかかる本の場合、人に薦めるのはちょっと苦しい、という感じだろうか。
ヘリックス構造とかデスモシン架橋とかジスルフィド結合とか、特に別段の説明もなく使われているが、そういうので良いという人で、且つ、著者が好き勝手に書いたコラムが読みたいという人向け。
広くお薦めできるような本ではないと思う。
以下メモ。
・コラーゲンは、合成された後、構成するアミノ酸プロリンとリシンのかなりの部分がビタミンCを還元剤にして水酸化され、ヒドロキシプロリンとヒドロキシリシンになる。コラーゲンを摂取しても、ヒドロキシプロリンとヒドロキシリシンをプロリンとリシンにする反応は知られていないので、食べたコラーゲンが体内でコラーゲンになる訳ではないだろう。
壊血病は、ビタミンCの欠乏で血管のコラーゲン組織が弱くなって、おこる。
必須アミノ酸のリシンは、コムギにおける含有量が少なく、ヨーロッパでは畜産農業によってリシン不足を補った。
ヒアルロン酸は、陰イオン基をたくさん持っていて、それらが互いに反発するために、溶液中では広がった状態となって、衝撃を吸収したり、潤滑油のような働きをする。ガン細胞の転移も促進する。
・牛の腹部表面のコラーゲンは、体長方向に偏って並んでいる。分子方向は伸び難いが、分子と分子の間は結合が弱く伸びやすいので、牛が太ると胴回りが太る。