『黒い看護婦 福岡四人組保険金連続殺人』

森功
新潮文庫
ISBN978-4-10-132051-9
福岡県で起きた連続保険金殺人事件について書かれた本。
ノンフィクションとしては物語性が強く、そんなに特別だとは思わないが、それなりといえばそれなりのノンフィクションか。事件そのものはどろどろとしていて興味深いので、読んでみたいのならば読んでみても、というもの。
結構クセはあるが、それは、そういう事件だからなのか、それともノンフィクションとしてクセがあるのだろうか。グロテスクで、主要な登場人物には、加害者以外にも、殆ど共感が持てず、人間の暗黒面ばかりを見過ぎのような気はする。そもそも、こういう話がネット上に転がっていたとしたら、ネタとしか思えないような話ではある。物語性が強いせいか、事件の時系列を把握し難いのも気になった。
こうしたことから、そんなに特別なものではないと思うが、特に悪いということもないそれなりのノンフィクション。事件の眼目としては、その猟奇性よりも、主犯格の女性が他の共犯者達を手玉に取っていくところがポイントなので、そうしたものに興味があるのならば、読んでみても、という本だろう。