やや頭でっかちか

『性からよむ江戸時代 生活の現場から』
沢山美果子
岩波新書
ISBN978-4-00-431844-6
江戸時代の庶民の性生活が分かる史料をいくつか読み解こうとした本。
あまり統一的なテーマはなく、やや雑多だが、あれこれ史料を読んだもので良ければ、という本か。
庶民層にも「家」が広がっていき、家を繁栄・維持させるものとして夫婦の性生活も規定されるようになった、という史観をベースに、史料を読もうとしたもの、というのが多分本当のところで、それならばこっちの史観をメインのテーマとして書いたほうが面白かったのではないか、とは思うが、そういう風にはなっていない。
あれこれ史料を読んだよという話でしかなく。
理論は現実を捨象したものなので、現実を見れば理論にそぐわない話がいっぱい出てくるものだろうに。
それはそれとして、一つの史料研究としてこれはこれなのかもしれないが。
そうしたもので良ければ、という本だろう。