『遺伝人類学入門 チンギス・ハンのDNAは何を語るか』

太田博樹 著
ちくま新書
ISBN978-4-480-07138-5
DNAから人類集団の変遷を探求する遺伝人類学についての入門書。
おおよそ標準的な入門書といったところで、入門書でよければという本か。
高校生や大学生くらいの人が遺伝人類学という学問のあり方を知るためにはよい本ではないかと思う。
ただ、本当に入門からという人には懇切丁寧に分かりやすいわけでもなく、知識をアップデートしたい人向けには最新の知見が散りばめられているのでもなく、それ以外の人にはやや中途半端な気はする。
私個人としてはストライクゾーンには入ってこなかった。
そうしたものでよければ、という本だろう。

以下メモ。
・生存に有利な突然変異が生じると、その遺伝子がある箇所の近隣では、生存には中立的な遺伝的多型のうちのひとつがたまたま生存に有利な変異とセットになったことによって広がることがある(ヒッチハイキング)。
自然淘汰による進化が発生したときには、そのため周辺の多型は均質化する。
ヨーロッパなどの牧畜民に出現したラクトース分解酵素が大人になっても強い変異はその例と思われる。