『人間・始皇帝』

鶴間和幸 著
岩波新書
ISBN978-4-00-431563-6
始皇帝に関して書かれた本。
基本的には、近年になってから出土した資史料によって「史記」の記述に齟齬が出てきた点をまとめたもので、そうしたものでよければ、という本か。
主題的には、伝記ではなく「史記」の記述の齟齬をついたもの。
ただしそこまではっきり変わっているということはなく、基本「史記」を踏襲した伝記になっているのは、面白くないというべきか、無難というべきか。
取り立ててどうこう、ということはないと思う。
可もなく不可もなくというところ。
それでよければ、という本だろう。

以下メモ。
・「史記」では、正月に生まれたので政と名づけた、と書かれているが、出土竹簡に「趙正書」というものがあることや、「史記」の異写本でも趙正となっているものがあることから、秦王政の名前は正であったと考えられる。
呂不韋は相邦であったが、漢代に劉邦の諱を避けて相国になった。