『連分数のふしぎ 無理数の発見から超越数まで』

木村俊一 著
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-257770-0
連分数に関連して書かれた数学読み物。
割と初歩から理詰めで書かれているので、個人的には面白かった。興味があるならば、よい本だと思う。
ぱっと見て分かりやすくはないこと、後半部分は証明も省略されて理詰めではなくなることが、残念といえば残念か。多分しょうがなくはあるのだろうが。
理詰めで少しずつ埋めていくので、じっくり読めば分かるだろうし、面白い本だと思う。
興味があるならば、お薦めしたい。

以下メモ。
・数を連分数で表示したときに、次の分母の数が大きくなるような連分数は、精度のよい近似である。
πを連分数にすると、3+1/(7+1/(15+1/(1+1/(292+……))))となるので、分母に出てくる15や292の前である22/7や355/113は円周率のよい近似となる。
・中心から一定の距離のところに丸い葉をつけ、ある角度だけ回転させて距離を延ばし、同じ様に丸い葉をつけていって全体を埋めていくことを考える。
90度では1/4回転なので、四本の腕ができ、全体を埋めることができない。
一般に有理数回転では、その分母の数の腕が現れ、隙間ができる。無理数回転でも、よい有理数近似があれば、その数の腕が現れる。
したがって、全部を効率よく埋めるには、よい有理数近似を持たない無理数回転を使うのがいい。
連分数にしたときの分母の数が大きい方がよい近似なので、よい近似を持たない無理数は、1+1/(1+1(1+……))、すなわち黄金数である。
植物が葉などできれいに全体を埋めようとすると、そこに黄金数、及びその近似としてのフィボナッチ数が出てくる。