『改訂版 ヨーロッパ史における戦争』

マイケル・ハワード 著/奥村房夫・奥村大作 訳
中公文庫
ISBN978-4-12-205318-2
中世後半から現代までの、ヨーロッパにおける戦争の歴史を概説した本。
別に硬いということはないが、概説は概説。いろいろと書かれているし、興味深くはあるが、読んで面白いという本ではないと思う。それでも良ければ、という本か。
全部が重要だという本は、概説だから確かにそうなのだろうけど、結局のところ、どこが重要なのか分からない、ということにしかならないものだ。
翻訳文体なので読みにくいところがあるし、著者が何を言いたいのかよく分からないところもあって(クラウゼヴィッツの話とか)、その点でも、あまり良い本だとは評価できない。日本海海戦でロシアが敗北した理由をロシア艦船の旧式化のせいにする議論は聞いたことがないが、イギリスではそうでもないのだろうか。
概説なので、勉強用と割り切れれば、というところ。
概説で、読んで面白いような本ではないが、それでも良ければ、という本だと思う。
そうしたもので良ければ、読んでみても、という本だろう。

以下メモ。
百年戦争におけるフランス軍の勝利は、フランス軍に組み込まれた砲兵の力によった。
・大砲の出現はしかし、陸戦よりも海戦を決定的に変えた。大砲を載せた商船は、漕ぎ手を大勢乗せた軍艦との戦力差はほとんどなくなった。