『進化倫理学入門 「利己的」なのが結局、正しい』

内藤淳 著
光文社新書
ISBN978-4-334-03493-1
進化倫理学についての入門書。
大体のところ、光文社新書にありがちな、スタンダードな入門書だと思う。新書レベルの入門書で良ければ、悪くない本。興味があるのなら、読んでみても良い本だろう。
話の筋としては、人間は、進化の過程で、自己の生存や繁殖にとって都合の良いことを快、都合の悪いことを不快に感じ、快となる行動を選び、不快となる行動を回避するように選択されてきた。近親者に対する愛情のみならず、他人に対する友情や善意、良心も、巡り巡って自分の利益になる互恵的利他行動を引き起こすために、自分の内に快を生み出すものである。道徳というのは、それらの互恵的利他行動が、対立利益のために選ばれなくなることを防ぐものであり、他人に期待することが自分の利益になるものである。人間が生存や繁殖のための資源獲得を目指すものである以上、人々にその資源を配分することが、正しい社会に求められる条件になるだろう、というところか。
そうしたもので良ければ、読んでみても良い本。
人間がそういう風にできているのだとしても、そういう風にすることが正しいとは限らないし、現実の倫理問題を本書のような理論からどこまで解けるのかということも未知数ではあるが、入門書としては、一応こんなものだと思う。
興味があるならば、読んでみても良い本だろう。