『日本の子どもと自尊心 自己主張をどう育むか』

佐藤淑子 著
中公新書
ISBN978-4-12-101984-4
著者らが行ったアンケート調査に関する報告論文。
大体のところ、ほぼ報告論文と考えておいた方が良い本か。良くいえば、そうしたもので良ければ、読んでみても良い本。ただし、報告論文なので一般向けに読みやすくはないし、学問的な意義は分からないものの、一般向けの興味を惹くような面白い内容のものかどうかは、やや疑問に思う。
謙譲が美徳とされる日本社会において子供にセルフ・エスティーム(自尊心)を持たせることをどのように行うべきか、というようなことは、実際上のテーマとしては、ほとんど期待できない。
(著者の考えとしては、もっと楽観的に、それらは両立可能であり、日本でももっと積極的に子供の自尊心を高めてやるべきだ、と、それほどの検討もなく、主張している)
先行研究をまとめて、自身の研究を紹介して、適当に結論を書いて、という、ありがちなテンプレート通りの報告論文。それは、学界がひっくり返るような世紀の大研究なら、もちろんこれで面白いのだろうけども、というところか。
セルフ・エスティームや子育てについて、日々考えているような人には何らかのヒントがあるのかもしれないが、それ程でもない人が特に読んでみるような本ではないと思う。
広く一般に薦めるような本ではないだろう。