『父親―100の生き方』

深谷昌志 著
中公新書
ISBN978-4-12-101952-3
近・現代の日本の自伝から、自伝著者の父親の像を集め、どのような父親が良いのかを探ろうとした本。
モチーフ的には、どのような父親が良いのかを探ろうとしたものであり、内容的には、様々な父親のあり方を集めた雑録で、読み物としては一応のものはあるだろうから、そうしたもので良ければ、読んでみても良い本か。
百もの自伝を200pの本に集めれば、一人の父親あたりの記述は相当薄いものにならざるを得ない訳だし、芸能人の自伝がどこまで信用できるのだろうか、という問題もあるが、あれこれと集められた雑録で軽く読めるし、モチーフ的にある程度筋もあるので、読み物としては悪くない本だと思う。読み捨てるくらいのもので良ければ、という本。
結論的なこととしては、自伝を商業出版できる程の成功した人物の父親だからといって特別な類型があるのでもなく、それぞれの父親はそれぞれに多様な人たちだった、というところだろうか。
そうした読み物で良ければ、読んでみても、という本だろう。