『インド洋孤島戦記 海軍アンダマン根拠地隊の戦い』

小澤一彦 著
光人社NF文庫
ISBN978-4-7698-2575-3
太平洋戦争時にアンダマン諸島の守備隊に赴いた人が書いた戦記読み物。
単純な個人の従軍記というより、やや広範にインド洋地域における帝国海軍予備士官らの戦い等をまとめた本で、別に良いことはないが悪いこともない、それなりといえばそれなりの戦記読み物か。
中央の戦線から取り残された辺境の戦記なだけに余り派手な戦闘があるのでもないし、同期の海軍予備士官に対する強い連帯感も現代の目で見ればやや浮いている感があって、特別な戦記、という程ではないと思う。大和撃沈の状況とか割と雑多なものが集められていて、読み物としてはその方が良いのかもしれないが、従軍体験記としては、個人の経験という一回限りの希少性・絶対性が貴重で特別な訳で、著者が経験したのではないことをあれこれと書かれても、中途半端な気がする。
特に悪いということはないので、読んでみたければ読んでみても、という本だが、かといって、私としてはお薦めするようなものでもなかった。
それでも良ければ、というところだろう。