単純労働の生産性は、

先進国でも発展途上国でもそんなに大きな差はないだろうから、先進国と発展途上国の間の単純労働に対する賃金の差は、生産性の差ではなく、先進国の方が周囲に高い生産性を持って高い賃金を得られる人が多いために、その賃金との比較や支払い余力によって、賃金が上がっているのだと考えられる。
従って、ここに一つの先進国と一つの発展途上国とがあって、両者を完全な自由経済圏で結び付けるならば、発展途上国の単純労働に対する賃金は上がり、先進国の単純労働に対する賃金は、発展途上国のそれへと向かって下がっていくであろう。
そうであるならば、自由貿易は、先進国で単純労働をする労働者にとって不利であり、発展途上国の単純労働者にとっては、自らに有利な政策となるのではないだろうか。
日本が保護貿易によって自国産業を守り育てることをずっとやってきたせいもあってか、自由貿易は先進国の志向する政策であり、発展途上国保護貿易を志向するように、私はなんとなく思っていたのだが、そうではないのかもしれない。
日本において、経済自由主義的な思想は、今後ますます退潮するのだろうか。