『秀吉の接待 毛利輝元上洛日記を読み解く』

二木謙一 著
学研新書
ISBN978-4-05-403468-6
毛利輝元豊臣秀吉に臣従し、初めて上洛した時の記録を解説した本。
この著者の専門的にか服装とか食事とかの風俗考証が多いが、後は、大体ありがちな、史料を解説したものとしてはごく普通の本か。
こうした史料解説で良ければ、読んでみても、という本。『信長公記』に書かれている木津川口の戦いはまだしも、墨俣築城はないだろう、とは少し思うが。
300pを越える結構厚い本だし、余り広く一般向けということはなく、好事家向けの本だと思う。戦国時代に興味があって、秀吉政権下での儀礼的な服装や食事について知りたいと思う程の人ならば、秀吉のくらいがちの方法論とか両川体制の緊密振りとか金吾(後の秀秋)の優遇され具合とかうかがえるし、結構面白く読めるのではないだろうか。
そうしたもので良ければ、興味があるならば読んでみても、という本だろう。
メモ1点。
毛利輝元聚楽第で初めて秀吉と対面した時は、その場に公卿はおらず、前後して上洛した北条氏規が秀吉と対面した時には、任官した輝元を含む公卿が同席している。輝元の時は公卿がいないため、烏帽子直垂(ひたたれ)の輝元の服装は他の列席者と同格だったが、氏規は、他の列席者が束帯を着用する中、一人だけ烏帽子直垂だった。