『犬の頭がグングンよくなる育て方 あなたの愛犬は素晴らしい能力を持っている!』

三浦健太 著
PHP文庫
ISBN978-4-569-66919-9
犬のシツケに関して書かれた本。
シツケのテクニックが書かれた単純な実用書というよりは、シツケに対しての心構えや理念が説かれたもので、私としてはそれなりに納得のできる理念だったので、良い本ではないかとしておきたい(私は犬を飼ったことがないので、当たっているかどうかは分からないが)。
その理念を簡単にまとめれば、昔のように犬を道具として使っていた時代に開発された犬に何かをさせるための訓練ではなく、今の時代は、犬を家族の一員として迎え、社会の中で適応させていくことが求められている、飼い主がリーダーシップをとって犬の健康や安全を守り、犬に愛情を注いでいけば、犬は飼い主(リーダー)の喜ぶことを行い、飼い主(リーダー)が不快に思うことはしなくなる、というところか。
こうした理念が良いと思うのであれば、読んでみても良い本。
お散歩とか飼い主さんとかの丁寧語が少し妙な印象も与えるが、割と内容もあって良い本だと思う。
興味があるならば、読んでみても良い本だろう。
以下メモ。
・愛犬同伴方式のシツケ教室を開催しても、他人や他の犬を吠えたり噛んだりするような本当に問題のある犬を飼っている人は参加しづらい。
・犬は、猫科の動物程の攻撃力はなく、獲物を取るには相手が弱るまで長期に渡って付け狙っていたと考えられ、粘り強く諦めの悪いリーダーを尊敬する。
・犬は自分の安全を守るために強いリーダーの下につき、強い犬には恥も外聞もなく服従する。守られていれば、下位であることへの劣等感もないようだ。飼い主(リーダー)が真に犬を守り、愛情を持って育てていれば、食事を先に与えるくらいのことでは飼い主のリーダーシップは揺るがない。
・犬に何か動作を覚えさせる場合、できないからといって決して叱らず、少しでもできた時にすぐ褒めるようにする。犬に迷惑な行動をやめさせる場合は、目を見てしっかり叱り、やめたり逡巡した時にはすぐに褒める。叱るのは褒めるのとセットにしないと、犬は何に対して叱られているのか分からない。褒める時は、背中を軽く撫でおろして、感謝の意を伝えるようにする。また、叱る時には名前を呼ばないようにして、名前を呼ぶのは褒める時だけにしておくと良い。
・留守がちで寂しいだろうと二頭目の犬を飼うのは、犬から見れば飼い主の愛情が半分になることになりかねない。二頭目の犬を飼う場合、すべてにおいて先にいた犬を優先し、群れの順序をリーダー(飼い主)が守らせるようにする。