『進化しすぎた脳 中高生と語る[大脳生理学]の最前線』

池谷裕二
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-257538-6
脳科学についての入門読み物。
基本的に、小人数の中高生相手に行った講義を活字にしたもので、別に難しくはないと思うので、多分、初学者向けにはそれなりに分かりやすい入門読み物なのだろう。
そういうもので良ければ、読んでみても、という本か。
私個人的には、脳科学の入門書も多少は読んできているので、本書に既知の情報以外のたいした内容はあんまりなかった。おまけに、入門書としても、もう少し内容が詰まっている方が、私は多分好みだと思う。
という訳で、本書は私には合わなかった。
自分に合っていないものを判断するのは難しいが、悪いということはないので、初心者向けの入門読み物で良ければ、読んでみても、というところだろう。
以下、個人的で勝手なメモ。
扁桃体の活動によって感情が生まれるが、その感情は扁桃体そのもので生み出されるのではない。
・完璧な記憶では少し違ったものにも応用がきかない。脳はあいまいに活動することで、汎化を行い、共通の要素を取り出している。そうした汎化の作用は言語を司る作用と似ており、言葉によって作られる心も汎化の手助けをしていると考えられる。
・二つの神経細胞がほぼ同時に活動すると、NMDA受容体が電位の大きな変動を感知して、シナプスの受容体を増やし、二つの神経の結束力を強める。
・脳は、外部から入力される情報に比して大量の内部情報の処理を常に行っている。こうした脳の自発活動のゆらぎによって、選択等の様々な確率的行動が行われる。