『日本を甦らせる政治思想 現代コミュニタリアニズム入門』

菊池理夫 著
講談社現代新書
ISBN978-4-06-149875-4
コミュニタリアニズムについての入門書。
全体的にいって、反対者の黒い面と自身の白い面だけを見れば、こういう風に見えないこともないのだろう、という本か。
結構玉虫色の本。コミュニタリアニズムは共通善を中心に据えた政治学、ということだが、そもそも何が共通善なのか、という話は余りないので、後は、共通善の取り様次第でどうにでもなる、という感じがする。
(共通善はコミュニティによってそれぞれ異なるから、共通善そのものについて語るのは難しいのだろうが。しかし、共通善はコミュニティを形成する前提であり、コミュニティの目的である、コミュニティは共通善を前提として形成され、共通善を目的とする、では、ただのトートロジーではないだろうか)
「格差拡大」「学力低下」「反市場主義」が大好きで、現代社会はますます非道徳的になってきている、と考えている人向き。
どうも、私としては、認識の底が浅い気がした。