『人の気持ちがわかる脳 利己性・利他性の脳科学』

村井俊哉 著
ちくま新書
ISBN978-4-480-06499-8
利己性、利他性に関する脳科学読み物。
全体的には特にどうということもない脳科学読み物で、そうしたもので良ければ、読んでみても、という本か。脳科学読み物なんかはいっぱいある訳で、その中で特に本書を、というようなものは、余りないとは思う。
気になった点は、論理的にやや考察が甘いのではないか、と思える箇所が、若干ある。例えば、食べ物やお金等の報酬が得られた時に働く線条体が他人からの高い評価を得た時にも働いているので、他人からの評価は食べ物やお金と同様に脳が求めるものだ、というようなことが書かれているが、人間の脳が生まれつきお金を求めるように進化してきたとはとても思えないので、それは多分に後天的なものである可能性があるのではないだろうか、とか。
後は、別にどうということもない脳科学読み物。特にという程のものはないが、悪いということもないと思う。
興味があるのなら、読んでみても、という本だろう。