『江戸のお白洲 史料が語る犯科帳の真実』

山本博文
文春文庫
ISBN978-4-16-780165-6
江戸時代の犯罪事件をいくつか紹介した読み物。
面白いといえば面白いがありがちといえばありがちの、よくある江戸犯罪読み物。そうしたもので良ければ、という本か。
ありがちなので、どういう本かは想定しやすいと思う。
よくいえば、最下級の武士は貧乏だったとか、町人にも武士的な主従関係の倫理があったとか、店の主人が願い出ると奉公人が刑を喰らうことなく下げ渡されるのは主人に臣下の懲罰を決定する権限がある武家社会の反映だろうとか、犯罪を通して見る江戸社会の実相を描いているといえないこともないが、味付け程度に考えておいた方がいい。
後は、ありがちな江戸犯罪読み物で良ければ、という本だろう。