『坂本龍馬』

松浦玲 著
岩波新書
ISBN978-4-00-431159-1
書簡や日記等の一次史料を軸に、坂本龍馬の足跡をたどった本。
一次史料を軸にしているし、本当に足跡をたどっているだけなので、好事家向けではあるが、一次史料から龍馬の足跡を丹念に追っているので、そうしたもので良ければ、割と良い本だと思う。興味があるならば、読んでみても良い本。
ただし、個々の史料の細かい検討等はだいぶ削られているらしく、私としてはそういう細かいところが面白いだろうと思うので、その点、残念ではあった。別に200ページちょっとしかないのに、岩波の方針なんだろうか。
また、坂本龍馬について一から知りたいとか、幕末の歴史を余り知らないとかいう人が手に取るような本でもない。
一次史料を軸に坂本龍馬の足跡をたどったもので良い、という人向け。
そうしたもので良ければ、割と良い本だと思う。
興味があるならば、読んでみても良いだろう。

以下メモ。
・初期の頃の龍馬は越前福井藩に近かった。大政奉還論は松平春嶽らが早く唱えている。
・「海援隊日史」等の史料には、所謂船中八策は出てこない。
徳川慶喜大政奉還建白を受け入れる前は、龍馬も武力倒幕論に傾いた。
・龍馬が京都の下宿にいることは、危険だと自分でも分かっていた。吉井友実薩摩藩邸に来るように誘ったが、そういう訳にもいかず、土佐藩邸にも独自の活動をする龍馬を快く受け入れない雰囲気があって行けなかった。