『もうひとつの脳 ニューロンを支配する影の主役「グリア細胞」』

R・ダグラス・フィールズ 著/小西史朗 監訳 小松佳代子 訳
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-502054-8
グリア細胞に関して、現状分かっていることのまとめ。
特別ではないがそれなりの本で、読んでみたければ読んでみても、というものか。
大部の本の割りに、現状のまとめでしかないのですっきりした結論があるのではないが、脳の仕組みはニューロンの結合に拠っているというニューロン中心主義を打破するには、それなりの本ではあろう。
そうしたものでよければ、という本。
いろいろ書いてあって面白いともいえるが、無駄に長いともいえるし、特別というほどではない。
それでもよければ、という本だろう。

以下メモ。
グリア細胞は、睡眠や性行動を制御できることが分かってきた。
脊椎動物ニューロンの軸索にはミリエンがあり、細いままでも速く遠くまで電気信号を伝えることができる。
脳の白質が白いのはミリエンのためだが、その様子によってIQを知ることができる。
ミリエンを形成するグリア細胞は知性や学習に関与しているらしい。
プロのピアニストと一般の人との比較から、ピアニストは運動を制御する大脳皮質部位から軸索が延びる白質神経束のミリエン層が厚いことが分かった。また、ミリエン形成が進行中の幼い時期からピアノを始めた人のほうが、より広範囲にわたって白質構造が増大していた。