『日本の公教育 学力・コスト・民主主義』

中澤渉 著
中公新書
ISBN978-4-12-102477-0
公教育の意義についてまとめた概説。
基本的に護教書なので、護教の概説でよいのなら、という本か。
意義を説いているのだからいいのかもしれないが、こうまで論じる対象に全幅の信頼感を寄せる本というのはどうなのかと個人的には思ってしまった。
公教育に意義がないかもしれないみたいな契機は微塵もない。
ついでにいうと、概説なのであんまり面白くもない。
一応の概説ではあるので、教育学者の少なくとも一人はこう考えているという程度でよければ、というところだろうか。
アクセルべた踏みでよければ、という本だろう。

以下メモ。
・社会科学では実験的な手法は使いにくいので、傾向スコアを用いた分析が注目されている。
 たとえば、通塾の問題でいえば、親の学歴や収入などといった変数から通塾している蓋然性を算出し、同じ確率を持った人の中で通塾している人としていない人を比較すれば、傾向スコアの算出に問題がない限り、理屈上、通塾の影響を取り出せる。