『したがるオスと嫌がるメスの生物学 昆虫学者が明かす「愛」の限界』

宮竹貴久 著
集英社新書
ISBN978-4-08-721021-7
昆虫学者が自分の研究事例を元に性的対立について書いた本。
自分の研究事例なのでエピソード的で読みやすく、テーマ的にも結構きっちりしているので、割とお薦めできる本だと思う。
よくここまでテーマに沿ったことを研究してきたなという感じ。
どこまでそうなのかはともかく。
著者の研究事例を書いた本としても読めるし、悪くないと思う。
興味があるならばお薦めしたい。

以下メモ。
・ある種の甲虫では、顎の発達したオスは縄張り争いにて生殖競争を優位に進めるが、その子どものメスは上半身が無駄に発達してよいことはない。顎の小さいオスは縄張り争いでは不利で子どもを残しにくいが、その子どものメスは下半身が発達して卵を多く産むことができ、生殖競争で優位となる。
・ほ乳類で新しくハーレムの主になったオスが前の主の子どもを殺す子殺しの事例はよく知られているが、いくつかの種では同じような場合にメスが自ら流産してしまう。
・受精嚢を複数持つ昆虫やニワトリなどではメスは卵に受精させる精子を選んでいる。
人間においても、射精時に女性がオルガスムに達したとき体外に流れ出る精液の量が少なく、この種の選別となっている可能性がある。