『地球はなぜ「水の惑星」なのか 水の「起源・分布・循環」から読み解く地球史』

唐戸俊一郎 著
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-502008-1
水に関連して書かれた地球惑星科学の本。
要するに地球における水の起源や循環が描かれたもので、存外結構高度な書だが、地球の水に関してひととおりまとめられてはおり、そうしたものでよければ悪くはない本か。
ただし、惑星形成論やプレートテクトニクスに関して何も知らない人が読む入門書というのではなく、既にそれを知っている人がそれらと水との関わりを知ろうとするような本ではある。
別にそう難しいということはないと思うが、高度な本だと考えておいたほうがいい。
単純に入門書と考えると多分間違う。
それでよければ、という本だろう。

以下メモ。
・原始太陽系星雲が冷えたとき、太陽に近いところでは水が凝縮しないと考えられ、その境界であるスノーラインは約2.7AUである。
・実際、スノーラインの外側にある天王星海王星、彗星などには水が多い。
・地球はスノーラインの内側にあり、地球の水は、惑星形成期の後期になって木星などによって周期を乱されたスノーラインの外側にあった物質が付加されたものか(後期ベニア説)、スノーラインの内側でも地球にある水程度のものは凝縮できたのか、あるいは凝縮するとき太陽放射の影響で物質がアモルファス状になり中に水などの揮発性物質を閉じ込めたかしたのだろう。
・月が作られたのは地球の重力影響下であったと考えられ、そのために高温の気体が固体に直接凝縮せず、液体になったことで、大量の水を取り込んだと考えられる。
・地球型の惑星ではマントル対流は普通にあるが、一番外側のプレートまで巻き込むプレートテクトニクスは条件が難しく、火星や金星ではプレートテクトニクスは作動していないらしい。