『キャリア官僚 人事・採用のからくり 激変する出世レース』

岸宣仁 著
中公新書ラクレ
ISBN978-4-150536-1
上級国家公務員の採用や出世格差の実際を紹介した本。
批判的ではあるが、通俗的であり、特に、というほどの本ではないと思う。紹介としては一つの紹介だろうから、それでもよければ、というところか。
近年の国家公務員の不祥事を挙げて嘆いているが、その事件がブログに暴言を書いての炎上だったりとか(それは昔にはなかっただろうが)、最後は国家公務員の一斉採用と長期の研修による選択を提言しているが、そうなると研修で上位の成績を修めた者が財務省に入って、我ら富士山がますます高い山になるのではないだろうか、とか、どこまで著者が深く物事を把握しているかは疑問もある。
通俗の域は出ていないだろう。
紹介として考えるなら一つの紹介。
薦めるのではないが、それでもよければ、という本だろう。

以下メモ。
・面接では、自分の席の隣に席を用意し、ちょっとはずすからといって三十分くらい待たせて応募者の対応を見るようなこともした。
・長時間の残業が前提になっているキャリア官僚の現状では、女性の登用を打ち上げても普通に子どもを持った女性の活躍は期待できない。