『教育という病 子どもと先生を苦しめる「教育リスク」』

内田良 著
光文社新書
ISBN978-4-334-03863-2
教育リスクに関していくつかのことが書かれた本。
全体として、雑多な本ではあるが、一つの指摘ではある、というところが。内容はそれほどでもないとして表現とかはガチ左翼っぽい感じだが、それでよければ、という本。
市民とか、体罰でなく暴行と言えとか、自由な部活動は国家の介入を避けるとか。著者の読書傾向が垣間見える。
主題的には、教育という美名の下にリスクが見えなくなっている、と主張されたものだが、教育という効用もないのにリスクだけがあるならそれはバカのやることなので、リスクのあるもののうち教育的効用のあるものが残った、というのが適切なところではないだろうか。
著者はエビデンスを重視せよとも主張しているが、リスクのエビデンスはあってもベネフィットのエビデンスがないので、事実上のゼロリスク論にしかなっていない。
二分の一成人式で親に感謝させたり昔話を聞かせたりすることは虐待を受けていたり複雑な家庭の子どもに対するケアが足りない、という主張は解釈だからエビデンスはいらないとしても、体罰と事故との関連を、エビデンスがないといいながら延々論じているのも、著者の主張的にどうなんだろうか。
そうした点もあるが、指摘としては一つの指摘か。
それでよければ、という本だろう。